ィカロスは落ちた!?

4月 16th, 2011 by 樹下仙人 Leave a reply »

ひと月が経った。日本は三重苦を背負ったのだ。

未曾有の東日本大震災に続く東電福島第一原発事故は、解決に向かう兆しを一向に見せず、むしろ放射能汚染の拡大により、日ごとに深刻さを増している。

「想定」を超えた激震、「想定」を超えた巨大津波によって「想定」を超えた被害が原発に及んだわけだ。ならば、この想定とは何か。経験知あるいは学問に裏付けられたもの、とは唱えられるが、その実、まあ、こんなもんだろう、との希望的観測ではないのか。こんなもの、自然は顧慮しない。易々と超えてしまった。

とにかく、原子力の実用化を達成した、完璧な管理も手中に、とは、とんでもない思い上がりであったのだ。イカロスは落ちた。

現場での処理作業にもたつきが、とも見られがちだが、それだけ問題が複雑で厄介なのだ。危ういバランスの上にある原子力利用が、いったん暴走を始めたとき、まさに想定を超えて深刻な影響を社会・経済・国際関係に及ぼすことを示してくれた。これから問題になる巨額の損害賠償には、いずれ我われの税金をつぎ込むことになる。

地球温暖化に対抗してクリーンエネルギーと喧伝された原子力と、これを利用した発電は、危うさを抑えて実用化の途を歩んできた。省エネ技術の先進性を誇る我が国は、温暖化ガスの大幅削減を掲げて世界をリードしようと努めてきた。そして原子力発電所を増設して利用を強化しようと図っている。これには原発ビジネスの勢力も暗躍してきただろうし、官民あげて情報操作を画策したようだ。民主的な公聴会の体裁を採りながら、不都合な発言は無視して我田引水。いわゆる知識人や評論家・タレントを動員して世論をミスリード。いまや官民協調して原発ビジネスは海外進出を狙っている。だが、今回の事故。もうどこの国も迎え入れてはくれまい。

原子力利用はまだまだ研究段階と考えるべきだろう。実用段階にしてはリスクが大きすぎる。今回の事故が何よりの証明だろう。

しかし電力需要は増大して行く。温暖化ガスは抑制しなくてはならない。対策は?

ます使い方を考えよ。利便性のみを追い求めてはならないのだ。そして同時に、実現可能な施策をどんどん講じてゆくのだ。屋上緑化・都市緑化・森林整備に努める。

かって日本は、太陽電池パネルの生産において世界一であったが、ドイツなどによって逆転された。政府の施策が中途半端であったため、国内での普及は限定的であった。いま一度力を入れて戸別発電を助成し、高性能パネル開発を促進する。燃料電池についても同様であり、これらはすぐにも実現可能なのだ。しかし風力発電は賛成できない。騒音と野鳥への傷害が問題となる。

つぎは波浪発電。実現はこれからだが、絶え間なく寄せては返す波浪を見ていると、この無限のエネルギーを利用しない手は無かろうと思う。技術研究はすでに始まっている。

つぎがハイドロメタンである。日本周辺の深海底に、ほとんど無尽蔵に眠っているという。メタンガスが高圧・低温のために氷結しているのだ。海底油田掘削技術の応用編ではないのか。

そしてバイオ・エネルギーである。とくに、大胆な発想だが、食物生産に適さない汚染地域でエネルギー変換原料を栽培するという考えもある。

付言するが、植物の太陽エネルギー利用のメカニズム、つまり葉緑素の作用を工業化できれば、食物としてエネルギー生産が実現する。

それにしても今、首相の首を挿げ替えるなんてことをやってる時なのかね。与野党ともに、どいつもこいつも己の利益・保身に走る権力亡者ばかりよ、まったくもう。有権者はもっと賢く考え、事の本質をみぬこうぜ。

2011.04.16

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